第15話 サンダース襲撃と、陳子俊が語る復讐の真実
サンダースが予定を繰り上げて香港へ戻ってくる。張天明は荘暁華とともにサンダースとの接触場所へ向かい、潜入捜査を開始する。一方、楊光耀は周曼儀に連絡し、何としても陳子俊を監視しておくよう頼む。サンダース側に接触する者が増える中、光耀は陳子俊の動きにも最大限の警戒を続けていた。
張天明がサンダースに自分を紹介すると、サンダースは予想外の行動に出る。彼は外で張天明を尾行していた警察官を連れてくるよう手下に命じたのだ。連れてこられたのは偉滔だった。監視カメラを通してその状況を見ていた光耀は、偉滔の潜入が露見したことに気づき、何とか切り抜けてくれることを祈る。
偉滔は冷静にサンダースへ説明する。前回のオークション以降、警察内部のシステムに不審な動きがあることに気づき、独自に調べていたという。そして捜査を進めるうちに荘暁華が釈放されたことを知り、彼女を追跡してきた結果、張天明のところへたどり着いたのだと話す。サンダースを欺くための必死の弁明だった。
その頃、陳子俊は別の計画を実行していた。彼は周曼儀を薬で眠らせると、密かにサンダースの隠れ家へ向かう。周囲を警護していたボディーガードを次々と倒し、建物の周囲に大量のガソリンを撒く。そして、サンダースたちを建物ごと焼き殺そうとする。
火が一気に燃え広がり、危険を感じたサンダースは建物の中へ逃げ込む。そこへ張強も入り、外にいる仲間たちを中へ呼び込もうとする。しかしサンダースはその隙を突き、扉を内側から施錠してしまう。張強たちは閉じ込められ、必死に出口を探すことになる。
その混乱の中、張天明はサンダースが長年探していた「データハードディスク」を取り出す瞬間を目撃する。張天明は隙を突いてサンダースを殴り倒し、ついに重要なデータを手に入れる。
証拠を確保した張天明は、すぐに偉滔のもとへ向かおうとする。しかし、その直後に建物の一部が崩落する。張天明を救おうとした偉滔は落下してきた巨大な瓦礫に巻き込まれ、命を落としてしまう。
その一方、現場にいた光耀は、逃走する陳子俊の姿を発見する。光耀はすぐに追跡を開始するが、陳子俊に隙を突かれ、麻酔薬を注射されてしまう。意識が薄れていく中、光耀は最後の力を振り絞り、陳子俊を殴り倒す。
しかし光耀自身も限界を迎え、その場に倒れてしまう。
病院では、仲間たちが手術室の前で必死に待ち続ける。誰もが光耀の生還を祈っていたが、やがて医師が出てくる。そして告げられたのは、あまりにも残酷な一言だった。
「申し訳ありません」
一方、サンダースは死亡していなかった。そして陳子俊は逮捕されたものの、事件について一切口を開こうとしない。そこで光耀は周曼儀に協力を求める。
周曼儀は陳子俊と向き合い、自分自身が妻として十分に支えられなかったことを謝罪する。そして、もう一人で罪を背負わず、すべてを話してほしいと説得する。
「全部話して。私たち二人で向き合いましょう」
その言葉に、陳子俊はついに重い口を開く。
陳子俊が麦志鴻と出会ったのは、自分が自殺しようとしていた日だったという。絶望の中にいた陳子俊は麦志鴻と手を組み、20年前の景順大厦火災に関わった者たちへの復讐を始めた。
二人はまず犠牲者を麻酔で眠らせ、その後、それぞれに異なる方法で殺害することで、まるで事故や自殺、別の事件に見えるよう偽装していた。
それは単なる殺人ではなかった。
景順大厦火災によって奪われた命と人生への「報い」を、彼らなりの方法で与えていたのだ。
しかし、陳子俊の告白によって明らかになったのは、これまでの殺人の全貌だけではなかった。彼と麦志鴻が復讐を始めた本当の理由、そして20年前の火災の背後にいる者について、さらに深い真実が隠されていることが示唆される。
第16話 復讐者の正体と、消えた証拠
張天明は父・張強が眠る大樹の下を訪れ、ようやく父を殺害した犯人を見つけたことを報告する。そこへ凱晴もやって来る。張強の死には、彼女の養父・陳子俊が関わっていたため、凱晴は張天明に謝罪する。しかし張天明は彼女を責めることなく、事件の真相を追い続けようと励ます。
一方、楊光耀は一人で埠頭に立ち、亡くなった偉滔のことを思い出していた。新人時代からずっと自分についてきてくれた偉滔は、いつしか警察官としての仲間を超え、家族同然の存在になっていた。その大切な友を失った悲しみは大きく、光耀は言葉にならない喪失感を抱えていた。
そんな中、数日後には大型の雷雨が香港を襲うという予報が出る。光耀は、20年前に自分が時空を越えた夜も、まさに同じような激しい嵐だったことを思い出す。もし雷雨が時空移動の条件なら、元の時代へ戻れるかもしれない。
光耀は再び、20年前に姿を消したあのビルへ向かう。そして、かつて自分が乗っていたエレベーターに乗り込む。しかし、激しい雷雨の中でも何も起こらない。
時空を越えることはできなかった。
翌日、警察はサンダースから押収したデータハードディスクを開こうとするものの、暗号を解除することができない。一方、サンダースは意識を取り戻すと、自分が何者かに放火され、重要な財産まで奪われたとして警察を訴える。社会的な地位も高く、決定的な証拠もないため、警察は彼を釈放せざるを得なくなる。
さらに警察は、サンダースから押収したものとは別のハードディスクを本人に返却してしまう。サンダースがパソコンに接続し、パスワードを入力すると、警察はそれこそがハードディスクを開くための暗号だと判断する。しかし、それは罠だった。
パスワードを入力した瞬間、データを自動消去するプログラムが起動。警察が見守る前で、ハードディスクに保存されていた景順大厦火災事件の重要証拠が次々と消えていく。
証拠を失った警察への世間の批判が高まる中、サンダースは何事もなかったかのようにレストランの出前を食べていた。しかし、杏仁茶を一口飲んだ直後、突然苦しみ始める。毒物による中毒と判明し、サンダースは病院へ搬送される。
張天明と凱晴は、サンダースが毒を盛られた場所から、ある人物の存在に気づく。二人が同時に思い出したのは、事件の中でたびたび姿を見せていた周曼儀だった。
調査を進めると、周曼儀がこれまでサンダースの周辺に現れていたことは、決して偶然ではなかった可能性が浮上する。
その頃、周曼儀は墓地を訪れ、祖母の墓前に立っていた。
「やっと、復讐できたよ」
そう語る彼女の脳裏には、これまで明かされなかった過去が蘇る。
以前、楊光耀から「サンダースが香港へ戻ったら、必ず陳子俊を監視してほしい」と連絡を受けた周曼儀。しかし、その場面の裏には、実は彼女と陳子俊が長年にわたって協力してきた関係が存在していた。
一方、張天明と凱晴は周曼儀とサンダースの直接的な関係を突き止められずにいた。しかし、ゴミ箱の中から偶然、ある「ミニ倉庫」の情報を発見する。凱晴は周曼儀に連絡を取り、自ら待ち合わせ場所へ向かう。
同じ頃、光耀と張天明もミニ倉庫を調査し、そこから**「周二娣」**という名前を発見する。張天明はその人物が景順大厦火災の犠牲者の一人だったことを思い出す。
そして周曼儀は、ついに凱晴へ自分の過去を語り始める。
幼い頃、周曼儀の一家はカナダへ移住した。しかし世界的な株価暴落によって両親は人生に絶望し、相次いでビルから身を投げて亡くなった。残された彼女は祖母に連れられて香港へ戻り、二人で暮らすことになる。
生活は苦しく、祖母とともにゴミを拾いながら生きていた。そして祖母は、かつての友人を訪ねるために景順大厦を訪れ、あの大火に巻き込まれて命を落とした。
一方、光耀は周曼儀の身元をさらに調査し、ついに彼女の本当の名前を突き止める。
彼女の本名は「蔡宝盈」。
そして彼女もまた、景順大厦火災によって人生を奪われた、犠牲者の遺族だった。
これまで事件を捜査する側にいた周曼儀が、実は復讐する側の人間だったことが明らかになり、事件は新たな局面へ突入する。
第17話 母娘の再会と、20年前の真相
周曼儀は祖母の墓前で、これまで誰にも語ることのできなかった過去を振り返る。幼い頃から自分を支えてくれた、この世でたった一人の家族だった祖母を、景順大厦の火災によって失った。生きる希望さえ失っていた彼女だったが、祖母を弔っていたある日、同じように事件に苦しむ陳子俊と出会う。最初は景順大厦の火災を単なる不幸な事故だと思っていたが、後になってあの火災が人為的に起こされたものだと知る。
さらに周曼儀は、陳子俊が火災で亡くなった人々の前で密かに罪を悔いている姿を目撃する。陳子俊は、あの事件が起きた原因の一端を自分が背負っていると自責していた。二人は互いの苦しみを理解し合い、やがて復讐を誓うようになる。
周曼儀がまだ幼かった頃、祖母をいつもいじめていた不良少年がいた。ある日、その少年が喘息の発作を起こして苦しんでいるところに遭遇する。しかし周曼儀は助けを求めるどころか、わざと巡回中の警察官を別の場所へ誘導し、少年がそのまま命を落とすのを見届けた。
そして心の中で誓った。
「おばあちゃんを苦しめた人間は、全員この手で殺す」
この告白によって、凱晴はようやくすべてを理解する。麦志鴻が何度も口にしていた「先生」とは、周曼儀のことだった。彼女こそが麦志鴻を救い、傷ついた彼に絆創膏を渡した人物だったのだ。
そして陳子俊は、そんな周曼儀を守るため、これまでの殺人の罪をすべて自分一人で背負おうとしていた。
周曼儀は凱晴に、自分をサンダースのもとへ連れて行ってほしいと頼む。しかし凱晴は警察官として、母親がこれ以上罪を重ねる姿を見たくなかった。母親に最後の道を残すためにも、自首するよう必死に説得する。
ところが周曼儀は突然、凱晴を麻酔で眠らせる。そして凱晴の拳銃まで奪い、その場から逃走する。
その後、周曼儀は楊光耀に電話をかけ、20年前の驚くべき真実を明かす。
邓宏発を殺害した後、カナダへ逃亡しようとしていた夜、周曼儀は街中で必死に人探しのビラを貼っている佩潔を目撃していた。もしあの日、佩潔と出会っていなければ、自分の人生は今とは違っていたかもしれない。
その夜、佩潔は子供の手を引いて道路を渡っていた。周曼儀と陳子俊は、その直後に起きた交通事故を目撃する。そして、二人は車を運転していたのが盲標だったことを確認していた。
しかし、あの事故にはさらに恐ろしい真相があった。
佩潔は単なる交通事故の犠牲者ではなく、殺害された可能性が高い。
周曼儀は、盲標がサンダースの命令を受けて佩潔を殺害したのではないかと推測する。光耀にとって、それは最愛の妻を失った事件の真相そのものだった。
一方、サンダースは何食わぬ顔で病院を出る。光耀は周曼儀を逮捕して警察署へ連行しようとするが、サンダースが国外へ逃亡しようとしていることを知る。すぐに追跡を開始する。
幸いにも、重傷を負っていた荘暁華は一命を取り留め、これまで隠していた事実をすべて供述する。さらに、景順大厦火災事件とサンダースを結びつける重要な証拠も提出する。
警察はサンダースの車を追跡するが、途中で車がすり替えられていることに気づく。サンダースが船を使ってマカオへ逃亡する可能性が浮上し、警察は急いで埠頭へ向かう。
そこで待っていたのは、激しい銃撃戦だった。
サンダースは手下に守られながら逃走し、周曼儀もその姿を発見する。彼女は現場に落ちていた銃を拾い、サンダースを追いかける。
一方、盲標は光耀を殺そうと襲いかかるが、間一髪のところで凱晴が駆けつけ、父を救う。光耀は盲標を追跡するものの、盲標が路地から飛び出した瞬間、突然現れた車にはねられて死亡する。
そして、その車から降りてきた人物こそサンダースだった。
周曼儀はサンダースへ向けて何度も銃を撃つ。しかし、サンダースには一発も命中しない。逆にサンダースは拳銃を取り出し、周曼儀へ向けて引き金を引こうとする。
その瞬間、凱晴が母親の前に飛び出す。
凱晴は母親を守るため、身を挺して銃弾を受け、その場に倒れる。
最愛の娘を失った周曼儀は絶叫し、光耀も凍りつく。
サンダースは逃走を試みるものの、ついに警察に包囲され、逮捕される。
20年前の火災から始まった復讐劇は、ようやく最大の黒幕を捕らえるところまでたどり着いた。しかし、光耀にとっては、最愛の妻だけでなく、20年後に再会した娘までも失うという、あまりにも残酷な結末を迎えることになる。
第18話(最終回) 星空の記憶と、家族を取り戻す奇跡
凱晴は母・周曼儀を守るため、サンダースが放った銃弾を自ら受け止める。倒れた凱晴が空を見上げると、そこには無数の星が輝いていた。その瞬間、幼い頃の記憶が鮮明によみがえる。養父の陳子俊と過ごした日々、そして自分が大切にしてきた家族との思い出が、走馬灯のように脳裏を駆け巡る。
そこへ楊光耀が駆けつける。目の前で倒れている凱晴を見た光耀は、彼女を抱き起こし、「お願いだから眠らないでくれ」と必死に呼びかける。凱晴は最後の力を振り絞って手を伸ばし、光耀を指差す。それは、幼い頃から二人の間だけで交わされてきた特別な合図だった。
「お父さん……」
言葉にはならない想いを込めたまま、凱晴は涙を浮かべ、静かに息を引き取る。
最愛の娘を失った光耀は、陳子俊に対して複雑な感情を抱く。これまで娘を育ててくれたことには心から感謝していた。しかし同時に、彼らの復讐が原因となって凱晴が命を落としたことも事実だった。
「あなたたちは、この結果を本当に望んでいたのか。復讐を果たして、後悔していないのか」
光耀の胸には、怒りと感謝、悲しみが入り混じっていた。
一方、娘を失った周曼儀は現実を受け入れることができず、拘留中に自ら命を絶とうとする。しかし警察が異変に気づき、間一髪で救命される。
陳子俊は周曼儀に一通の手紙を渡す。その中で、自分がすべての事件を始めてしまったことを悔やみ、凱晴を死なせてしまった責任を深く謝罪する。周曼儀もまた陳子俊へ返事を書き、すべてを正直に供述することを決意する。そして、凱晴が天国から自分たちを見守ってくれているなら、どうか安らかに眠ってほしいと願う。
翌日、楊光耀は張夫人のもとを訪れる。そして、長年彼女が待ち続けた真実を告げる。
「あなたのご主人を殺した犯人は、ようやく逮捕されました」
張夫人はその言葉を聞き、初めて現実を受け入れる。夫が亡くなってから、すでに20年以上もの年月が過ぎていたことを改めて実感する。
その後、警察は記者会見を開き、張天明が景順大厦火災事件の真相を公表する。
景順大厦の火災は決して事故ではなかった。
世間から「太平紳士」として称えられていたサンダースが土地を手に入れるため、意図的に火災を起こし、それを電気系統の故障による事故として偽装していたのだ。
多くの人々の人生を奪った20年前の火災の真相が、ついに白日の下にさらされる。
その頃、空は徐々に暗くなっていく。
それを見た光耀は、ついに理解する。
時空を越えて戻る時が来たのだ。
光耀は急いで病院へ向かい、震える手で病室の扉を開ける。すると、そこにはベッドに座り、楽しそうに絵を描いている幼い「瑶瑶」の姿があった。
光耀は言葉を失い、次の瞬間、瑶瑶を力いっぱい抱きしめる。
そこへ佩潔が現れ、「またこっそり事件を調べに行っていたんでしょう?」と呆れたように尋ねる。
光耀は何も答えられない。ただ、目の前にいる妻と娘が本当に生きていることを確かめるように、二人を強く抱きしめる。
失われた20年を取り戻すような、奇跡の再会だった。
その後、光耀は警察署へ戻る。かつて自分を20年後へ導いた麦志鴻のことも、もう気にしてはいなかった。すると、2日も3日も必死に自分を探し続けていた偉滔が駆け寄ってくる。
光耀は偉滔の顔を見つめ、短く一言だけ告げる。
「ありがとう」
そして、二人は固く抱き合う。
一方、麦志鴻は公園のベンチで不審な箱を発見する。何かを感じ取った彼は急いでそれを持ち、下水道へ向かう。そこでは周曼儀と陳子俊が待っていた。
二人が箱を開けると、中には驚くべきものが入っていた。
「景順大厦火災事件、再捜査へ」
そんなニュース記事とともに、一枚の紙が入っている。そこには、周曼儀、陳子俊、そして麦志鴻の本当の名前が記されていた。
三人は顔を見合わせる。
自分たちの正体と復讐計画を、すでに誰かが知っている。
事件はまだ終わっていなかった。
そして20年前の世界へ戻った光耀は、佩潔の前で「もう刑事を辞めて、一緒に海外へ行って暮らそう」などと大きな夢を語り始める。しかし、その直後、道路脇で強盗事件が起きる。
光耀は反射的に車を降り、犯人を追い始める。
結局、どれだけ未来が変わっても、刑事・楊光耀の本質だけは変わらなかった。

















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