向日葵を追いかける太陽 2023年 全24話 原題:当我飞奔向你
目次
第1話 雨の日に始まった恋の予感
高校生活の幕開けを目前に控えたある雨の日。明るく元気な少女・蘇在在(スー・ザイザイ)は、コンビニで買い物を済ませて店を出た直後、突然の雨に見舞われる。雨宿りをしながら周囲を眺めていると、一人の少年が傘も差さず静かに雨の中を歩いていた。
「変な人だな……」
そう思って何気なく顔を見た瞬間、在在の胸は思わず高鳴る。その少年こそ、後に彼女の心を大きく揺さぶることになる張陸譲(ジャン・ルーラン)だった。
どこか物憂げで近寄りがたい雰囲気をまといながらも、端正な横顔と静かな存在感を放つ陸譲。その姿は、太陽のように明るく感情豊かな在在の心に、初めての特別な感情を芽生えさせるのだった。
翌朝、在在は親友の姜佳(ジャン・ジア)と待ち合わせをして登校する。新しい学校、新しいクラス、新しい友人たち。期待に胸を膨らませる二人だったが、慣れない朝の支度に手間取り、初日からまさかの遅刻をしてしまう。
登校途中、姜佳は学校で有名な二人の男子生徒について話していた。
「張陸譲っていう超優等生と、もう一人は顧然っていう人気者らしいよ」
その時の在在は、まだ自分が雨の日に出会った少年がその張陸譲であることを知らない。
一方その頃、同じく遅刻してきた顧然は、生活指導の生徒に名前を書かれそうになり、とっさに「僕は張陸譲です」と嘘をついてその場を切り抜けようとする。しかも在在たちのクラスである9組の生徒だとまで名乗ったため、偶然その様子を聞いていた姜佳は「張陸譲って変な人だね」とすっかり誤解してしまう。
そんな中、在在にはさらに災難が待っていた。制服代を支払おうと財布を探したところ、どこにも見当たらないのだ。
慌てる在在だったが、その財布は実は陸譲に拾われていた。
陸譲は顧然とともに放送室へ向かい、落とし物として届け出る。ところが財布の中にあった学生証には本名が隠され、その代わりに「附中の劉亦菲」という文字が書かれていた。
実は在在が冗談半分で書いたあだ名だったのだ。
やがて校内放送で「附中の劉亦菲さん、財布を受け取りに来てください」と流れると、在在は恥ずかしさのあまり顔を真っ赤にしながら放送室へ駆け込む。
そこで財布を届けてくれたのが張陸譲だと知った在在は、胸の高鳴りを隠せなくなる。
一方、姜佳は顧然と陸譲の名前を完全に勘違いしており、顧然こそが張陸譲だと思い込んでいた。
その後、遅刻した生徒たちは軍事訓練で罰を受けることになる。顧然は陸譲の名前を使って逃げ切ったつもりだったが、陸譲もまた遅刻した際に顧然の名前を名乗っていたため、結局二人とも揃って罰を受ける羽目に。
そんなやり取りに気付かない在在と姜佳もまた、同じく罰を受けることになるのだった。
軍事訓練のため全員が合宿所へ向かう日。バスの定員の都合で、一部の9組の生徒は1組のバスへ移動することになる。
在在は「顧然」に会えると思い込み、自ら進んで1組のバスを希望する。
しかし彼女が本当に会いたかった相手は、実は顧然ではなく陸譲だった。
荷物を積み込もうとした在在は、重たい荷物をうまく棚に上げられず困ってしまう。すると、そっと手を差し伸べたのは陸譲だった。
無言で荷物を持ち上げてくれる陸譲。
在在は慌てながらも「ありがとう」と小さくお礼を言う。
ほんの数秒の出来事だったが、在在にとっては胸がいっぱいになるほど特別な時間だった。
バスの中で彼の横顔を見つめながら、思わず微笑んでしまう在在。記念に写真を撮ろうとするものの、見つかりそうになって慌てて携帯電話を隠す姿は、まさに恋を知ったばかりの少女そのものだった。
訓練基地へ到着すると、厳しい教官たちが待ち受けていた。
炎天下での整列、電子機器やお菓子の没収など、生徒たちは早くも不満を漏らし始める。
姜佳は必死に持ち込み禁止品を隠そうとするが、あっさり教官に見つかってしまい、罰としてカエル跳び50回を命じられる。
その様子を見て笑っていた顧然も巻き添えとなり、二人揃って罰を受けることに。
さらに顧然は一緒にゆっくり跳ぼうと提案しておきながら、教官から「最後になった者は運動場の掃除だ」と言われた瞬間、一目散に先へ進んでしまう。
そんな姿に姜佳は呆れながらも、少しずつ顧然に興味を抱き始めていた。
夜になり、在在は姜佳のために医務室へ薬を取りに向かう。
ところが医務室には誰もおらず、涼しい空調に誘われた在在は少しだけ休憩することに。
その時、突然誰かが入ってくる気配がした。
教師に見つかったと思った在在は、とっさにベッドへ潜り込み病人のふりをする。
しかし現れたのは教師ではなく陸譲だった。
「具合が悪いの?」
静かに尋ねる陸譲。
慌てた在在は病気だと演技を続けるが、陸譲が「寒いなら空調を消そうか」と言った途端、思わず元気よく「消さないで!」と反応してしまう。
思わぬ失態に顔を赤くする在在。
その瞬間、医務室の先生が戻ってくる。
在在は先生が自分に話しかけているのだと思いカーテンを開けるが、その向こうには陸譲も立っていた。
二人の距離は、少しずつ確実に近づき始めていた――。
【第1話の見どころ】
雨の日の偶然の出会いから始まる在在の初恋は、まさに青春ドラマらしい胸キュンの連続。陸譲の何気ない優しさに心を奪われる在在の姿が可愛らしく描かれる。
また、明るく一直線な在在と、感情を表に出すのが苦手な陸譲という対照的な二人の関係性も大きな魅力。まだ会話らしい会話も少ない二人だが、その小さな接点一つひとつが特別な意味を持ち始めている。
【次回への期待】
医務室での思いがけない再会によって、在在の恋心はさらに大きく膨らんでいく。果たして陸譲は、この明るく真っすぐな少女の存在を少しでも意識し始めているのだろうか。
偶然が重なり続ける二人の出会いは運命なのか、それともただの偶然なのか。軍事訓練を通して距離を縮めていく彼らから目が離せない。
甘酸っぱくて眩しい青春の日々が、ここからいよいよ本格的に動き始める。次回はさらにドキドキの展開が待っている。
第2話 名前違いの恋と、少しだけ近づいた距離
軍事訓練の合宿生活が始まり、蘇在在(スー・ザイザイ)の心の中は、ある一人の少年のことでいっぱいになっていた。
雨の日に出会い、財布を届けてくれた優しい少年――。
まだ多くを知らない相手なのに、気づけば彼のことばかり考えてしまう。そんな初恋のときめきを抱えながら、在在は昨夜医務室で出会った“顧然”との出来事を親友の姜佳(ジャン・ジア)に楽しそうに話していた。
しかし、その時の在在はまだ知らなかった。
自分がずっと「顧然」だと思い込んでいた相手こそ、本当は張陸譲(ジャン・ルーラン)だったということを――。
その夜、女子寮では抜き打ち検査が行われることになる。
教官が各部屋を回り、持ち込み禁止の物を隠していないか徹底的に調べ始めたのだ。
怒られるのを恐れた姜佳は、隠していたお菓子を自ら差し出してしまう。一方、男子寮では顧然がゲーム機で遊んでいる最中に教官の巡回を知り、大慌てで逃げ出していた。
廊下を走っていた顧然は偶然陸譲と鉢合わせる。
「これ預かって!」
そう言ってゲーム機を押し付けると、自分だけ逃げ去ってしまう。
いつもなら面倒事を避ける陸譲だが、仕方なくゲーム機を抱えて隠れ場所を探し始める。
その時だった。
階段下の狭い空間に身を潜めた陸譲は、同じくこっそり電話をしていた在在と遭遇する。
予想もしなかった再会。
狭い空間の中で二人の距離は驚くほど近い。
お互いの息遣いまで聞こえそうな距離に、在在の心臓は激しく鼓動を打つ。
陸譲は相変わらず無表情だったが、慌てる在在の様子を静かに見守っていた。
幸い教官は別件で呼び出され、その場は何事もなく終わる。
しかし在在にとっては、それだけで忘れられない時間となった。
一方、顧然は軍事訓練から逃れるため低血糖のふりをするという作戦を決行する。
だが教官はそんな演技をあっさり見抜き、逆に掃除当番を増やしてしまう。
完全に自業自得だった。
大量の雑務を押し付けられた顧然は親友たちに助けを求める。
当然、陸譲は面倒そうな顔をするが、結局は頼みを断れず手伝うことになる。
不器用で無口な彼だが、困っている友人を見捨てられない優しさを持っていた。
そんな陸譲の本当の魅力を、まだ在在は知らない。
その後、在在は偶然一緒に歩く機会を得る。
しかし彼女は相変わらず目の前の少年を「顧然」だと思い込んでいた。
「どうして九組の生徒だなんて嘘をついたの?」
無邪気に問いかける在在。
陸譲は特に訂正もせず静かに話を聞いている。
さらに陸譲は顧然から預かっていたゲーム機を在在へ渡し、「少し預かっていて」と頼む。
実はこれは、勝手に自分の名前を使った顧然への小さな仕返しでもあった。
感情を表に出さない陸譲だが、こうしたささやかな反撃をするところはどこか少年らしくて微笑ましい。
やがて夜のレクリエーションが始まり、生徒たちは運動場へ集められる。
教師が「誰か特技を披露しないか」と呼びかけると、在在はある作戦を思いつく。
大勢の前で歌を歌い、その相手として“顧然”を指名するのだ。
もちろん彼女が指名したかったのは陸譲だった。
ところが立ち上がったのは本物の顧然。
その瞬間、在在はようやく自分の勘違いに気づく。
今まで「顧然」だと思っていた相手は張陸譲であり、本物の顧然はまったく別人だったのだ。
思い返せば、これまでの会話も行動もすべて名前を間違えたまま進んでいた。
恥ずかしさで顔から火が出そうになる在在。
しかし、その絶妙なタイミングで雨が降り始める。
生徒たちは慌てて避難し、在在は何とかその場を切り抜けることができた。
寮へ戻った在在は、布団の上で悶絶していた。
「どうしよう……私、ずっと名前を間違えてた……」
人生最大級の失敗だと思えるほど恥ずかしい。
だが姜佳は笑いながら励ましてくれる。
そんな親友の存在が在在に少しだけ勇気を与えていた。
それでも在在の頭から離れないのは、昼間に陸譲から言われた一言だった。
「バカ」
その言葉が馬鹿にされた意味なのか、それとも親しみを込めたものなのか。
考えれば考えるほど分からなくなる。
けれど、その一言を何度も思い返してしまう自分がいる。
恋とは不思議なものだった。
その夜、在在は勇気を振り絞って陸譲に会いに行く。
明るい性格の彼女だが、好きな人の前ではやはり緊張してしまう。
それでも在在は笑顔を絶やさない。
「私が張陸譲を守ってあげる!」
そんな大胆な宣言まで飛び出す。
すると陸譲は真顔で言う。
「後ろに何かいる」
突然の言葉に在在は硬直する。
恐る恐る確認すると、それはただの葉っぱだった。
ほっと胸をなで下ろす在在。
一方の陸譲は、わずかに口元を緩めていた。
本人は隠しているつもりだが、在在と接する時の彼はどこか柔らかい。
少しずつではあるが、確実に変化が生まれていた。
同じ頃、顧然は一人で器材室へ向かっていた。
強気な態度とは裏腹に怖がりな顧然は、閉じ込められただけで大騒ぎ。
偶然通りかかった姜佳が助けようとするが、鍵は見つからない。
そこで二人は力ずくでドアを開けようとする。
何度も体当たりを繰り返した末、勢い余った姜佳は顧然の胸へ飛び込むような形になってしまう。
思わぬ急接近に二人とも動揺する。
普段は口げんかばかりしている二人だが、この出来事をきっかけに少しずつ距離が縮まり始めるのだった。
その後、姜佳を探しに来た在在は暗い校舎に怯えながら歩いていた。
物音がするたびにしゃがみ込んでしまうほど怖がっている。
そんな彼女の前に現れたのは陸譲だった。
「本当に怖がりだな」
呆れたように言う陸譲。
しかし、その声にはどこか優しさが混じっていた。
やがて四人は夜の焚き火のそばに集まり、静かな時間を共有する。
在在は陸譲の幼い頃の話を聞きたがり、少しでも彼のことを知ろうとする。
陸譲は多くを語らない。
けれど、在在の真っすぐな眼差しを無下にすることもできない。
その時間は短かったが、二人にとって特別な思い出になっていく。
そして軍事訓練の終わりが近づく。
仲間との絆。
新しい友情。
数え切れない思い出。
多くのものを得た在在だったが、その中で最も大きな収穫は一つだった。
気づけば張陸譲という存在が、自分の心の中心に住み始めていたのだ。
【第2話の見どころ】
今回最大の見どころは、在在がようやく「張陸譲」と「顧然」を取り違えていたことに気づく場面。恋する少女らしい勘違いが微笑ましく描かれ、思わず応援したくなる。
また、階段下での急接近や夜の再会など、在在と陸譲の胸キュンシーンも満載。不器用ながらも自然に在在を気に掛ける陸譲の優しさが少しずつ見え始める。
さらに顧然と姜佳のコミカルなやり取りも物語の大きな魅力。もう一つの青春物語も静かに動き始めている。
【次回への期待】
ついに名前の勘違いが解けた在在。これからは本当の「張陸譲」に真正面から向き合うことになる。
しかし、無口で感情を見せない陸譲の心はまだ謎に包まれたまま。彼は在在の存在をどのように感じているのだろうか。
軍事訓練を終え、舞台はいよいよ本格的な高校生活へ。教室での日々の中で二人の距離はさらに縮まるのか。それとも新たなライバルや試練が待ち受けているのか。
太陽のように明るい少女と、不器用で優しい少年の青春ラブストーリーは、ここからますます目が離せなくなっていく。次回も胸キュン必至の展開に期待したい。
第3話 近づきたい気持ちと、初めてのやきもち
軍事訓練を終えた生徒たちは、それぞれの日常へと戻っていく。
校舎には再び活気があふれ、教室には笑い声が響く。長かった訓練期間を乗り越えたことで、クラスメート同士の距離も少しずつ縮まり始めていた。
そんな中、蘇在在(スー・ザイザイ)の心の中には、以前にも増して大きな存在となった張陸譲(ジャン・ルーラン)の姿があった。
軍事訓練の間に何度も偶然が重なり、少しずつ接点が増えていった二人。しかし、それはまだ「知り合い」と呼べる程度の距離に過ぎない。
在在にとっては、もっと彼のことを知りたい。
もっと話したい。
もっと近づきたい。
そんな想いが日に日に大きくなっていた。
新学期最初のホームルームでは、担任の林茂(リン・マオ)が改めて自己紹介を行い、生徒たちは本格的な高校生活のスタートを迎える。
授業が終わると、生徒たちの関心はすぐにクラブ活動へ向かった。
ところが今年は、例年行われていたクラブ活動が廃止されるという噂が広がっていた。
原因は進学校として有名な1組の担任・張老師が提案した改革だという。
勉強を最優先に考えるその厳格な姿勢から、生徒たちは陰で彼女を「滅絶師太」と呼び、ため息を漏らしていた。
青春を楽しみたい高校生たちにとって、クラブ活動はかけがえのない思い出になるはずだからだ。
そんな周囲の騒ぎとは別に、在在はもっと切実な悩みを抱えていた。
「もし張陸譲が私みたいなタイプを嫌いだったらどうしよう……」
明るくおしゃべりで感情表現が豊かな自分。
対して陸譲は無口で落ち着いていて、何を考えているのか分からない。
正反対ともいえる二人だからこそ、不安になってしまう。
そんな在在の相談を聞いた姜佳(ジャン・ジア)は、一つの作戦を思いつく。
「顧然に聞けばいいじゃない!」
親友である顧然(グー・ラン)なら、陸譲の好みを知っているかもしれない。
早速二人は顧然のもとへ向かう。
ところが顧然は、話を聞くなり大きな勘違いをしてしまう。
「え? 姜佳、お前が張陸譲を好きなの?」
勝手に話を進める顧然。
しかも遠慮なく茶化し始める。
当然、姜佳は怒り心頭だ。
その時、偶然通りかかった憧れの先輩・沈謙宇の姿を見つける。
ところが立ち位置の関係で、ちょうど顧然と重なって見えてしまった。
顧然はそれを見て完全に勘違いする。
「やっぱり俺に見惚れてたんだな」
勝手にポーズを決め始める顧然。
その自信満々な態度に姜佳は呆れ返るのだった。
一方、顧然は陸譲本人に「どんな女の子が好きなんだ?」と質問する。
陸譲は少し考えた後、こう答える。
「素直で、人懐っこくて、いつも元気で……」
その言葉を聞いた顧然は恋愛の好みだと思い込む。
しかし陸譲が思い浮かべていたのは、実は自宅で飼っているゴールデンレトリバーだった。
もちろん顧然はそんなことに気づかない。
そのまま聞いた内容を在在へ伝えてしまう。
在在は大喜びだった。
「もしかして私、当てはまってるかも!」
好きな人の理想に近づきたい。
その一心で彼女は努力を始める。
授業中も積極的に発言しようとし、一晩かけて暗記した公式まで披露しようとする。
しかし緊張のあまり盛大に間違えてしまう。
周囲から笑いが起こり、在在は恥ずかしさで顔を赤くする。
それでも彼女は諦めない。
好きな人のためなら失敗だって怖くない。
そんな前向きさこそが在在の魅力だった。
放課後になると、在在は偶然を装いながら陸譲と同じバスに乗る。
隣に立てただけで嬉しい。
同じ景色を見られるだけで幸せ。
そんな恋する少女らしい気持ちが溢れていた。
しかし在在は相変わらずおしゃべりが止まらない。
質問攻めにされる陸譲は少し困った様子を見せる。
「少し静かにしてくれないか」
そう言われても在在はめげない。
むしろ話題を変えて再び話しかける。
そして意気揚々と言う。
「あなたの好きなタイプ、私も結構当てはまってると思う!」
すると陸譲はスマートフォンを取り出し、一枚の写真を見せる。
そこに写っていたのは――
ゴールデンレトリバーだった。
「え?」
思考が停止する在在。
陸譲が説明する。
「さっき話してたのは、この子のこと。」
その瞬間、在在はようやく真実を知る。
今まで必死に目指していた理想像は、まさかの犬だったのである。
穴があったら入りたい。
そんな気持ちになる在在。
一方の陸譲は、珍しく少しだけ楽しそうな表情を浮かべていた。
そんなある日、生徒たちに朗報が届く。
廃止されると思われていたクラブ活動が正式に募集されることになったのだ。
教室中が歓声に包まれる。
もちろん在在も大喜びだった。
なぜなら、陸譲と同じクラブに入れるかもしれないからだ。
早速、姜佳を連れて再び顧然のもとへ向かう。
顧然は交換条件として「学年一の美少女の連絡先を教えてくれたらな」と要求する。
呆れながらも、在在たちは情報収集を続ける。
その後、顧然たちは屋台へ向かう。
実はその情報を事前に入手していた在在と姜佳も、偶然を装って同じ場所へ現れる。
もちろん偶然ではない。
しかし陸譲は一目見ただけで気づいていた。
「また追いかけてきたんだな」
口には出さないものの、その視線には少しだけ呆れと優しさが混じっていた。
夜の帰り道。
バスの中で事件が起こる。
一人の中年男性が女子生徒へ不適切な接触をしようとしていたのだ。
周囲が見て見ぬふりをする中、在在は勇気を振り絞って立ち上がる。
本当は怖かった。
足も震えていた。
それでも見過ごせなかった。
男性が逆ギレし始めたその時――
陸譲が前へ出る。
「やめてください」
静かな声だった。
だが、その一言には確かな強さがあった。
男性はそれ以上何も言えなくなる。
在在は初めて知る。
無口なだけではない。
陸譲は本当に優しくて、困っている人を放っておけない人なのだと。
その姿は、在在の胸をさらに熱くするのだった。
そしてクラブ見学の日。
姜佳は憧れの沈謙宇先輩を追いかけて演劇部へ向かう。
在在も付き添いで訪れるが、そこには陸譲の姿もあった。
思わぬ幸運に心が躍る。
しかし、その喜びは長く続かなかった。
陸譲の隣に、一人の女子生徒が座ったのだ。
楽しそうに話しかける彼女。
自然に会話を返す陸譲。
その光景を見た瞬間、在在の胸はざわつき始める。
これまで感じたことのない感情。
それは恋する人だけが知る――
初めての「やきもち」だった。
【第3話の見どころ】
今回は在在の恋する乙女ぶりが全開。陸譲の好みを知ろうと必死になる姿や、好きな人に近づくために努力を重ねる姿がとても微笑ましく描かれる。
特に「理想のタイプ」が実はゴールデンレトリバーだったという勘違いエピソードは、思わず笑ってしまう名場面。
また、バスでのトラブルの際に見せた陸譲の勇気ある行動からは、不器用ながらも優しい彼の本質が垣間見える。
【次回への期待】
ついに在在は、陸譲の隣に座る女子生徒の存在に心を乱されることになる。
恋は楽しいだけではない。
好きだからこそ不安になり、嫉妬し、傷つくこともある。
果たして在在はその気持ちとどう向き合うのか。
そして陸譲は、いつも自分を追いかけてくる太陽のような少女の存在を少しずつ意識し始めるのだろうか。
胸キュンと青春の輝きがますます加速する次回。二人の距離がどのように変化していくのか、期待が高まる。
第4話 はじめての勉強会、君との距離が縮まる日
高校生活が本格的に動き出す中、蘇在在(スー・ザイザイ)にとって待ちに待った出来事が訪れる。それは、張陸譲(ジャン・ルーラン)との距離がこれまで以上に近づく大きなきっかけとなる出来事だった。
定期テストの結果が発表され、生徒たちはそれぞれの成績に一喜一憂していた。
在在は得意科目である英語で優秀な成績を収め、教師たちから高く評価される。特に英語教師の張先生は、在在の模範解答を他の生徒にも参考にしてほしいと考え、その答案を1組の教室へ持って行っていた。
突然の出来事に驚きながらも、好きな人がいる1組に自分の答案が置かれていると聞き、在在は少し誇らしい気持ちになる。
その後、答案を受け取りに1組へ向かった在在だったが、そこで思いがけない事実を知る。
なんと答案は張陸譲が持って行ったというのだ。
その一言を聞いただけで在在の胸は高鳴る。
もしかしたら彼が自分の答案を見てくれたのかもしれない――。
そんな期待を胸に、在在は図書館へ向かう。
静かな館内で勉強していた陸譲を見つけた在在は、迷うことなく彼の向かい側に座る。
同じ空間で勉強できるだけで幸せ。
そんな恋する少女らしい気持ちが表情にあふれていた。
陸譲は相変わらず無口だったが、在在が近くに座ることを特に嫌がる様子もない。
それだけでも在在にとっては大きな前進だった。
勉強を終えて立ち上がる陸譲を見て、在在も自然と後を追う。
そこで彼女は、陸譲が英語に苦手意識を持っていることを知る。
成績優秀で何でもできそうに見える陸譲にも苦手なものがある。
その事実を知った在在は少し嬉しくなる。
「英単語をもっと覚えればきっと大丈夫だよ」
明るく励ます在在。
陸譲は大きな反応を見せないが、その言葉は確かに彼の心に残っていた。
実は陸譲には、誰にも言えないプレッシャーがあった。
学校では常に上位の成績を維持し、周囲からも優等生として見られている。しかし彼の母親はそんな息子に決して満足しない。
特に英語の成績については厳しく指摘し続けていた。
総合順位は非常に高いにもかかわらず、一つの苦手科目だけを責められる日々。
陸譲の心には少しずつ疲れが積み重なっていた。
そんなある日、放課後の職員室で張先生が陸譲へ英語を教えていた。
そこへ課題を提出しに来た在在が偶然居合わせる。
急用で席を外さなければならなくなった張先生は、在在へ声をかけた。
「少しだけ張陸譲に教えてあげてくれない?」
もちろん在在に断る理由などない。
むしろ願ってもないチャンスだった。
在在は目を輝かせながら陸譲の隣へ座る。
英語の問題を一つひとつ丁寧に説明する在在。
普段は元気いっぱいの彼女だが、勉強を教える姿は意外にも真剣そのものだった。
その様子を偶然目にした担任の林茂は、ある提案をする。
「二人で教え合えばいいじゃないか。蘇在在は英語が得意で、張陸譲は数学や理科が得意なんだから。」
その提案に在在は即答で賛成する。
実際、数学や物理は彼女の苦手科目だった。
だがそれ以上に嬉しかったのは、堂々と陸譲と一緒にいられる理由ができたことだった。
一方の陸譲は特に反対もせず、その提案を受け入れる。
こうして二人だけの勉強会が始まることになった。
翌日の授業。
張先生は突然陸譲を指名する。
以前なら答えに詰まっていたかもしれない問題だった。
しかし陸譲は前日に在在から教わった内容を思い出しながら、見事に正解を導き出す。
教室では感心の声が上がる。
在在も思わず嬉しそうな笑顔を浮かべる。
自分の教えたことが役に立った。
それだけで十分幸せだった。
その後も在在はことあるごとに英語の話題を持ち出し、自分が力になれることをアピールし続ける。
だが陸譲はなかなか返事をくれない。
彼女は少し不安になる。
もしかして迷惑だったのだろうか。
そんな時だった。
帰宅した陸譲は、母親が勝手に家庭教師を手配していたことを知る。
しかもその教師は高圧的で、初対面から見下すような態度を取る人物だった。
息苦しさを感じた陸譲は、その場でこう告げる。
「もう教えてくれる人はいる。」
その時、彼の頭に浮かんでいたのは在在の笑顔だった。
その日の夕方。
陸譲が一人で歩いていると、偶然コンビニの前で軽食を食べていた在在が彼を見つける。
「張陸譲!」
満面の笑顔で駆け寄る在在。
彼女は自分の食べていたおでんや軽食を分けながら、いつものように楽しそうに話しかける。
その明るさは、いつもどこか孤独を抱える陸譲の心を少しずつ温めていた。
すると陸譲は突然、店内で大量のお菓子を購入する。
驚く在在。
そして彼は照れ隠しのように言う。
「これ、補習代。」
つまり、正式に英語を教えてほしいという意味だった。
在在は嬉しさを隠しきれない。
さらに彼女は提案する。
「その代わり、数学と物理は教えてね!」
陸譲も静かにうなずく。
こうして二人は正式な勉強仲間になった。
さらに在在は念願だった陸譲の連絡先まで手に入れる。
スマートフォンに表示された彼の名前を見つめながら、何度も笑顔になる在在。
帰宅後も興奮は収まらない。
勇気を出して送ったメッセージに返信が届いた瞬間、まるで世界中が輝いて見えるほど嬉しかった。
翌朝。
在在はいつも以上に時間をかけて身支度を整える。
しかし早起きしすぎたせいで目の下にはうっすらクマができていた。
それを見た陸譲は一言。
「寝不足?」
思わず顔を赤くする在在。
好きな人に会うために張り切ったことなど言えるはずもない。
二人は図書館へ向かい、本格的な勉強会を開始する。
在在は綿密に作った学習計画表を取り出し、まるで教師のように説明を始める。
その真剣な姿に、陸譲も自然と耳を傾ける。
学校でも二人は以前より自然に挨拶を交わすようになっていた。
少しずつ積み重なる日常のやり取り。
それは在在が夢見ていた関係そのものだった。
そんな中、体育の授業で小さな事件が起こる。
バスケットボールの練習中、在在のボールが1組の女子生徒たちのところへ転がってしまう。
返してほしいと頼む在在だったが、その女子たちは意地悪な態度を取る。
ボールを足で蹴り飛ばしてしまったのだ。
ところがそのボールは偶然、上級生の男子生徒に当たってしまう。
機嫌を損ねた上級生は女子たちを問い詰め始める。
誰も名乗り出ない中、在在は勇気を出して前へ出る。
「そのボールは私のです。」
本当は怖かった。
それでも人を巻き込みたくなかった。
そんな在在の責任感の強さが表れた瞬間だった。
しかし上級生は彼女をからかい始める。
その時――。
陸譲が現れる。
状況を理解した彼は在在の前へ立つ。
そして上級生の挑発を受け、バスケットボールで勝負することになる。
周囲が見守る中、試合は始まった。
陸譲は派手なプレーこそしないが、冷静かつ確実に得点を重ねていく。
最後は見事なシュートを決め、勝負に勝利する。
歓声が上がる。
その中心で一番嬉しそうに笑っていたのは在在だった。
好きな人が自分を守ってくれた。
それだけで胸がいっぱいになる。
太陽のように明るい少女と、不器用ながらも優しい少年。
二人の距離は、勉強会という新たな絆を通じて確実に縮まり始めていた。
【第4話の見どころ】
今回最大の見どころは、在在と陸譲が正式に「勉強パートナー」になる展開。英語が得意な在在と、数学や理科が得意な陸譲という対照的な二人が互いを支え合う関係になっていく様子は、まさに青春ラブストーリーの醍醐味といえる。
また、家庭で大きなプレッシャーを抱える陸譲の苦悩も描かれ、彼の不器用さの裏にある孤独が少しずつ明らかになる。
そしてラストのバスケットボール対決では、在在を守るために前へ出る陸譲の姿に胸が熱くなる。
【次回への期待】
連絡先を交換し、勉強会もスタートした二人。
これまで偶然に頼っていた関係は、少しずつ「特別な日常」へと変わり始めている。
在在の明るさは、閉ざされた陸譲の心をさらに開くことができるのか。
そして陸譲自身も、いつの間にか在在の存在を当たり前のように求め始めているのではないだろうか。
勉強会、放課後、そして何気ないメッセージのやり取り――。
青春の甘酸っぱい時間の中で、二人の恋はさらに大きく動き始める。次回も胸キュン必至の展開から目が離せない。
















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