女医明妃伝

女医明妃伝~雪の日の誓い~

女医明妃伝~雪の日の誓い~ 6話・7話・8話・9話・10話 あらすじ

女医明妃伝~雪の日の誓い~ 2016年 全50話 原題:女医・明妃傳

第6話「晴れぬ疑惑」

牢獄での日々を送りながらも、允賢は羅大娘から民間医療の知恵を学び続けていた。人を救うことへの情熱を失わない彼女の姿は、周囲の囚人たちにも希望を与えていた。一方、郕王・朱祁鈺の行方が分からず苛立ちを募らせる皇帝・朱祁鎮は、酒に酔ったまま街へ出る。そこで偶然、允賢の侍女・紫蘇と出会い、允賢が人助けをしたために罪を着せられ投獄されたことを知るのだった。

再び開かれた裁判では、徐夫人の侍女が証言を翻し、允賢が病状を把握しながら誤った薬を処方したと主張する。さらに太医院の程村霞も、患者の病歴や服薬状況を十分確認しなかった允賢に責任があると断じ、彼女は再び窮地へ追い込まれる。しかしその時、意外な人物が法廷に姿を現した。東廠を率いる権力者・王振である。

王振はまるで允賢と旧知の仲であるかのように振る舞い、彼女の薬のおかげで長年の持病が治ったと証言する。絶大な権勢を誇る王振の発言に、裁判官も徐侍郎も逆らうことができない。やがて徐侍郎は訴えを取り下げ、妻の死は自身の薬の飲み合わせによるものだったと認める。こうして允賢は無罪となり、ようやく牢から解放されるのだった。

しかし、突然の釈放は新たな疑念も生んだ。なぜ東廠の長である王振が一介の娘に肩入れしたのか。父・杭綱は朝廷から東廠との関係を疑われることを恐れ、不安を募らせる。一方、允賢のために証言した王夫人は、以前允賢の助言によって薬を変えた結果、待望の子を授かっていた。彼女は恩返しのために真実を語ったのである。

無罪を勝ち取ったものの、允賢の心は晴れなかった。自分を助けてくれた羅大娘は、王振に恥をかかされた徐侍郎の怒りのはけ口となり、無残にも命を落としてしまう。墓前に立った允賢は、自分が関わることで周囲の人々が不幸になるのではないかと深く苦しむ。かつて一族を滅ぼした悲劇、兄の死、そして羅大娘の犠牲――。そのすべてを背負った允賢は、自らを「不吉な存在」だと責め続けるのだった。


第7話「再び歩き出すために」

羅大娘の死は允賢に大きな傷を残していた。彼女は食事も喉を通らず、部屋に閉じこもって経を唱え続ける日々を送る。一方、朱祁鈺は皇帝との連絡手段を確保するため、汪美麟に密かに協力を求める。宮廷では依然として太后と皇帝の対立が続いていた。

允賢を気にかける朱祁鎮は再び街へ出る。紫蘇から羅大娘の死を聞いた彼は激怒し、徐侍郎への怒りを露わにする。紫蘇は、以前王振を動かして允賢を救ったのもこの「鄭斉」という青年だったことから、彼が允賢に好意を抱いているのではないかと問いかける。朱祁鎮は笑い飛ばすものの、自らもまたその問いを否定しきれずにいた。

その頃、皇帝はついに朱祁鈺を救い出し、胸の内を明かす。太后はかつて皇后の座を得るため、自分の実母を毒殺したのだという衝撃の事実だった。これまで育ての恩に報いようと耐えてきた皇帝だったが、太后がなおも権力を奪おうとしている以上、見過ごすことはできないと決意する。

一方、静慈師太は允賢を永慶庵へ招く。庵には戦乱や災害で行き場を失った人々が集まっており、病に苦しむ者も少なくなかった。しかし允賢は、自分が人を救う資格などないと思い込んでいた。そんな彼女の前に現れたのが鄭斉だった。彼は厳しい言葉で允賢を叱咤し、「命を救いたいという思いまで捨てるのか」と問いかける。その言葉は深く心に響き、允賢はようやく自分を縛っていた後悔から解き放たれていく。

翌日、允賢は感謝を伝えるため鄭斉と語り合う。しかし政治の話題になると意見が衝突し、允賢は皇帝の無能さを批判する。すると鄭斉は、女性医師など誰からも尊敬されない職業だとわざと挑発する。せっかく和解しかけた二人は再び口論となり、不機嫌なまま別れるのだった。しかしそのやり取りの中には、互いへの特別な感情が確かに芽生え始めていた。


第8話「迫り来る疫病」

鄭斉との口論を後悔した朱祁鎮は、どう謝ればよいのか分からず悩んでいた。そこで静慈師太を通じて、允賢に銀の鍼を贈る。それは医術に役立つ贈り物であり、不器用な彼なりの謝罪だった。さらに師太から、鄭斉の母も医術に優れた女性だったことを聞いた允賢は、彼に対する見方を少し変える。自分と同じように母を失った境遇を知り、親近感を抱くようになるのだった。

そんな折、黄河流域を大洪水が襲う。二十四県が被災し、多くの民が住む場所を失って京へ流れ込んできた。永慶庵にも大勢の難民が助けを求めて押し寄せる。允賢は彼らの症状を診察し、激しい下痢や嘔吐から霍乱の流行を疑う。事態は深刻であり、朝廷も大規模な対応に乗り出すことになる。

京では疫病への恐怖が広がり、人々は薬を買い占め始める。さらに役人たちは感染拡大を恐れて城門を閉ざし、難民の受け入れを拒否しようとする。しかし義父・于東洋はこれに反対し、現場へ駆けつけた皇帝も民を見捨てることを許さなかった。暴力的な官兵を処罰し、城門を開放して被災民を受け入れるよう命じる。その姿は、世間で噂される放蕩皇帝とはまるで別人だった。

永慶庵では、かつて允賢を苦しめた万寧も治療に参加していた。万寧は彼女の治療法を非常識だと批判するが、次第にその実力を認め始める。やがて災民たちの病状が改善し始めると、允賢への評価も高まっていく。

そんな中、食糧支援のために京へ戻ってきた朱祁鈺が永慶庵を訪れる。久しぶりの再会に心を弾ませる允賢。朱祁鈺は彼女が自分から贈った髪飾りを身につけていることに気付き、密かに喜ぶ。そして別れ際、自らの香袋を手渡して再会を約束するのだった。允賢は朱祁鈺の香袋を大切に手に取り、胸の高鳴りを隠せない。少女の心は、少しずつ恋へと傾き始めていた。


第9話「玉璽を取り戻した日」

朝廷では、黄河の堤防決壊事件を巡って皇帝と太后の対立がついに表面化する。皇帝は太后の側近である宦官・范弘の自白を突き付け、堤防破壊に太后が関与していたと追及する。太后は最後まで否定するが、証拠を前に追い詰められ、皇帝はついに玉璽を取り戻すことに成功する。長く続いた太后の影響力に大きな打撃を与えた瞬間だった。

勝利を報告するため永慶庵を訪れた皇帝だったが、静慈師太は彼が別の目的で来たことを見抜いていた。その頃、允賢は鄭斉が既婚者であるという話を耳にし、どこか複雑な気持ちになる。一方、万寧は彼女の正体を皆の前で暴露し、女性である允賢が診療を行っていたことを明らかにしてしまう。

すると、それまで感謝していた難民たちは一転して允賢を非難し始める。女性医師への偏見は根強く、彼女は再び孤立してしまう。しかしその時、異国から来た商人が允賢の治療を信じて診察を受ける。薬局から協力を拒まれた允賢は、身近な材料を使った民間療法で治療を行い、見事に回復させることに成功する。

その成果を目の当たりにした難民たちは再び允賢を頼るようになるが、彼女は驕ることなく、他の医師たちも優秀であると皆に伝える。その謙虚な姿勢に心を打たれた万寧は、自らの偏見を恥じて謝罪する。そして二人は医学を志す仲間として和解するのだった。

その夜、再会した朱祁鈺は允賢に香袋を贈り、改めて想いを伝える。部屋に戻った允賢は、鄭斉からもらった香袋をしまい込み、朱祁鈺から贈られた香袋を手に取る。彼女の心がどちらへ向いているのか、その答えは少しずつ明らかになり始めていた。


第10話「紅い布に託した想い」

永慶庵で「生き観音」と称えられるほど評判になった允賢だったが、その名声は父・杭綱にとって大きな不安材料だった。女性が世間の注目を集めること自体が問題視される時代であり、さらに一族の過去が露見する危険もある。杭綱は允賢を連れ戻し、屋敷の奥に閉じ込めて外出を禁じる。

そんな中、朱祁鈺の母である呉太妃が霍乱に感染し、容体が悪化する。太医院の治療でも回復の兆しが見えず、朱祁鈺は思い切った行動に出る。夜の杭家に忍び込み、允賢へ助けを求めたのだ。無礼を承知の頼みだったが、彼の真摯な態度に心を動かされた允賢は診療を引き受ける。

呉太妃の治療は成功し、帰路についた二人は初めて互いの本心を語り合う。これまで胸の奥に秘めていた想いが少しずつ言葉となり、二人の距離は一気に縮まっていく。しかし夜通し外出していたことが父に知られた允賢は、名誉を汚したとして地下牢へ閉じ込められてしまう。

事情を知った朱祁鈺は身分を隠したまま杭家を訪れ、「宮中の貴人を救うために呼ばれた」と説明して允賢を救い出す。だが杭綱は娘の将来を案じ、早急に縁談を進める決意を固める。祖母もまた、夜を共に過ごした以上、その相手が誠実なら正式に娶るべきだと語る。

偶然その話を聞いた朱祁鈺は、ついに決意を固める。三書六礼を整え、正式に允賢を妻として迎えたい――。彼はその想いを本人へ伝え、もし承諾してくれるなら紅い布を窓辺に掛けてほしいと告げる。突然の求婚に戸惑いながらも、允賢の胸は大きく揺れ動くのだった。

一方、宮廷では新たな策が動き出していた。太后の警戒をかわすため、皇帝・朱祁鎮と朱祁鈺は人前では不仲を装いながら、裏では互いに支え合うことを決める。兄弟の絆と、允賢を巡る恋模様。二つの運命が交差しながら、物語はさらに大きなうねりへと向かっていく。

 

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