女医明妃伝

女医明妃伝~雪の日の誓い~

女医明妃伝~雪の日の誓い~ 11話・12話・13話・14話・15話 あらすじ

女医明妃伝~雪の日の誓い~ 2016年 全50話 原題:女医・明妃傳

第11話「紅い布に託した誓い」

黄河治水を巡る朝議では、皇帝・朱祁鎮と孫太后の駆け引きが続いていた。太后は王振がさらに権力を拡大することを警戒し、監察使への任命に反対する。そこで汪国公が郕王・朱祁鈺を推薦し、太后もこれを承認する。表向きは反発した朱祁鎮だったが、実際には弟に重要な役目を与えたいと考えており、思惑どおりの展開だった。一方で、杭綱も功績を認められて将軍へ昇進するが、それが新たな騒動の火種となる。

程十三は杭綱に対し、「昇進できたのは“生き観音”と呼ばれる娘のおかげではないか」と嫌味を浴びせる。さらに、皇帝が永慶庵で允賢に心を寄せているのではないかと噂を吹き込み、杭綱の怒りを煽る。もともと娘の評判を気にしていた杭綱は、ますます結婚を急がせようと決意し、次々と縁談を持ち込むのだった。

家の前では子どもたちが「生き観音、命を救う」と歌を歌い、允賢の善行を称えていた。しかしそれは杭綱の耳には不名誉な噂としか映らない。将来を勝手に決められることに耐えられなくなった允賢は、かつて朱祁鈺と交わした約束を思い出し、紅い布を窓辺に掲げる。その布を見た朱祁鈺は、允賢が自分の想いを受け入れてくれたのだと確信する。

密かに再会した二人は、これまで胸に秘めていた気持ちを打ち明け合う。允賢は、暴走した馬から救われたあの日から朱祁鈺に惹かれていたことを告白する。しかし、自分には悪い評判が付きまとい、彼の将来を傷つけるのではないかと不安も抱えていた。だが朱祁鈺はそんな心配を一蹴し、「どんなことがあっても後悔しない」と真っ直ぐな想いを伝える。こうして二人は正式な婚約ではないものの、心の中で生涯を共にすることを誓い合うのだった。

その頃、郡主・汪美麟は朱祁鈺の母である呉太妃を訪ねていた。郕王への想いを抱く汪美麟に好感を持つ呉太妃は、二人の縁談を望み始める。しかし汪美麟は、允賢が庵で男性患者の診療を行い、世間の批判を受けていることを吹き込む。これによって呉太妃は允賢に対して強い不信感を抱くようになり、二人の恋路には新たな障害が立ちはだかるのだった。


第12話「雪夜のぬくもり」

允賢との恋が実ったことで、朱祁鈺の表情には以前にはなかった穏やかな幸福感が漂うようになっていた。その変化に気づいた皇帝・朱祁鎮は弟をからかいながらも喜び、恋人との元宵節の約束を勧める。朱祁鈺はさっそく允賢に文を送り、灯籠祭りでの再会を約束する。允賢もまた、恋する乙女らしくその日を心待ちにしていた。

一方、宮中では新年の宴が開かれる。太后の目を欺くため、朱祁鎮と朱祁鈺はわざと不仲を演じる。その芝居は見事に成功し、太后は兄弟の亀裂を信じ込む。しかし宴の席で太后は、朱祁鎮の亡き母に関する話題を持ち出し、彼の心の傷を容赦なくえぐる。耐えきれなくなった朱祁鎮は席を立ち、ひとり雪の降る夜の都をさまよう。

気づけば彼の足は杭家の前へ向かっていた。そこで出会った允賢は、普段は強気な鄭斉が今夜だけは孤独を抱えていることを感じ取る。彼女は酒や料理を持ち出し、静かに寄り添う。雪の舞う夜、二人は肩を並べて語り合い、亡き母への想いを共有する。允賢の優しさに触れた朱祁鎮は、彼女への想いをさらに深めるが、その感情を口にすることはなかった。

やがて迎えた元宵節。允賢は朱祁鈺との約束の場所で待ち続ける。しかしその頃、朱祁鈺は汪美麟一家に引き止められていた。何とか抜け出そうとするものの、執拗に付きまとう汪美麟を振り切ることができない。ついには彼女に対し、自分には想う女性がいるとはっきり告げ、その場を後にする。

だが、その間にも時間は過ぎていた。待ち続ける允賢の前に現れたのは、偶然通りかかった鄭斉だった。二人は共に灯籠を眺め、なぞなぞ遊びに興じながら思いがけない楽しい時間を過ごす。別れ際、朱祁鎮は景品として手に入れた玉の腕輪を允賢に贈る。照れ隠しに「勘違いするな」と言い放つが、その胸にある想いはすでに友人以上のものになっていた。


第13話「引き裂かれた約束」

元宵節の夜、ようやく允賢のもとへたどり着いた朱祁鈺は、遅れたことを詫びながら用意していた贈り物を差し出す。簪を彼女の髪に挿し、自らの想いを重ねる朱祁鈺。その優しさに允賢は笑顔を取り戻し、二人は改めて灯籠祭りを楽しむことになる。

華やかな灯りが揺れる橋の上で、二人は未来への誓いを交わす。「共に老いるまで手を取り合おう」。その言葉は互いの心に深く刻まれた。しかし、その幸せな光景を遠くから見つめていた人物がいた。朱祁鎮である。偶然戻ってきた彼は、最愛の女性が最も信頼する弟と寄り添う姿を目撃してしまったのだ。

初めて本気で恋をした相手が、自分ではなく弟を選んでいた。その現実に朱祁鎮は大きな衝撃を受ける。皇帝としての誇りだけを残し、その場を去った彼だったが、宮殿へ戻っても心の痛みは消えない。酒に溺れながら孤独を噛みしめるしかなかった。

一方で、汪美麟の失恋を知った汪国公と太后は怒りを募らせる。呉太妃から允賢と朱祁鈺の関係を聞き出した彼らは、二人を引き離す計画を進める。そして杭綱に突然の杭州転任命令が下され、一家は急いで都を離れることになる。

知らせを聞いた朱祁鈺は必死に船着場へ駆けつける。ついに身分を明かした彼は杭綱の前で正式に允賢との結婚を願い出る。その誠実さに心を打たれた杭綱は、ついに二人の仲を認めるのだった。さらに二人は互いの過去や秘密を打ち明け、これまで以上に深い絆で結ばれる。

しかし幸せな時間は長く続かなかった。朱祁鈺が皇帝への願い出のため宮中へ戻った隙を突き、刺客たちが杭家を襲撃する。激しい戦いの中、紫蘇は允賢をかばって重傷を負う。さらに徐侍郎までもが襲撃に加わり、允賢を道連れに川へ飛び込む。夜の激流に飲み込まれた允賢は消息を絶ってしまう。

その知らせを聞いた朱祁鈺は絶望のあまり吐血して倒れ込む。朱祁鎮もまた言葉を失う。誰も知らないところで、汪国公は自らの計画が成功したとほくそ笑んでいた。こうして允賢は死んだものとされ、愛する者たちの前から姿を消してしまうのだった。


第14話「流転の果てに」

允賢の死を信じられない朱祁鎮は、皇后・銭氏の助言を受けて事件の真相を調べ始める。徐侍郎一人でこれほど大掛かりな襲撃を計画できるはずがない。背後には汪国公がいるに違いないと睨むが、決定的な証拠をつかむことはできなかった。

一方、允賢の死に打ちひしがれた朱祁鈺は病床に伏していた。見舞いに訪れた汪美麟を冷たく追い返し、誰とも会おうとしない。呉太妃が涙ながらに看病しても、心の傷は癒えなかった。

しかし、その頃――。允賢は生きていた。川に流された彼女は遠く淮陰の地へたどり着き、南戯班の一座に救われていたのである。花旦役者の陳碧娘や王道士は身元の分からない允賢を温かく受け入れ、懸命に看病する。

やがて回復した允賢は、自分が生き延びた意味を探しながら新たな生活を始める。王道士の占いでは、彼女の周囲で起きた悲劇の多くが一人の女性に関係しているという不吉な結果が示される。しかし今の允賢には、その人物が誰なのか分からなかった。

行き場を失った允賢は一座に身を寄せ、雑用や炊事を担当することになる。料理の腕前は未熟だったが、王道士から様々な知識を学びながら少しずつ成長していく。厳しい言葉ばかりの王道士だったが、その裏には優しさが隠されていることも知るようになる。

身分も過去も捨て、新たな土地で生き直そうとする允賢。だが運命はまだ彼女を医の道から遠ざけることを許してはくれなかった。


第15話「雨に誓う医の道」

南戯班での暮らしにも慣れてきた允賢は、王道士から料理を学ぶうちに、彼が薬膳に精通していることを知る。医術への情熱が再び芽生え始めた允賢は教えを請うが、王道士は頑として応じようとしない。

その頃、京では太后と皇帝の対立がさらに激化していた。朱祁鈺は允賢を失った悲しみから立ち直れず、太后と汪国公は彼を次の皇帝候補から外そうと考え始める。一方、後継者を望む太后は皇帝の子をもうけさせようと画策するが、その行動を知った朱祁鎮は激怒。激しい口論の末、太后は転倒して意識を失ってしまう。

朱祁鎮は太后を憎んでいたはずだった。しかし昏睡状態となった彼女を前にすると、育ててもらった恩を思い出し複雑な思いに苦しむ。王振はこの機会に太后を排除すべきだと進言するが、朱祁鎮は拒否する。たとえ憎んでいても、自ら命を奪うことは望まなかったのである。

一方、允賢は王道士が護符を売っていることを知り、人々を騙しているのではないかと率直に口にしてしまう。その結果、怒った王道士から追い出されそうになる。だが允賢は諦めず、許しを請うため雨の中でひざまずき続けた。

夜通し降る雨の中でも決して立ち上がらない允賢。その覚悟を見た王道士は、彼女に「医とは何か」と問い続ける。そして最後に、弟子入りを認める条件として蛇を捕まえてくるよう命じる。普通なら尻込みするような試練だったが、允賢は恐怖を乗り越えて本当に蛇を捕まえてみせた。

その根性に負けた王道士は、ついに允賢を弟子として受け入れる。こうして允賢は再び医学を学び始める。王道士から教わったのは薬の知識だけではなかった。患者との信頼関係こそが治療の第一歩であり、病だけでなく心も救わなければならないという教えだった。数々の苦難を乗り越えた允賢は、真の医師への道を再び歩み始めるのである。

 

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