臨江仙 ~宿敵となった愛しき人~ 2024年 全32話 原題:临江仙
第27話 あらすじ
天姥峰の広場で、白九思と花如月は真の姿を現した蕭靖山と対峙する。花如月は、なぜ自分たちや張酸を利用したのか問い詰めると、蕭靖山は白九思を花如月の手で殺し、無量碑を破壊することが真の目的だったと明かす。さらに、青陽を殺害したのも二人の憎しみを深めるためだったとあっさり認める。
怒った花如月は蕭靖山へ剣を向けるが、張酸に「生死の呪い」がかけられていたため、白九思が制止する。やがて白九思は驚くべき方法で呪いを自らに移し替え、蕭靖山を拘束して花如月へ「今こそ討て」と促す。しかし蕭靖山はその事実を見抜き、さらに四百年前の真実を暴露する。花如月が旱龍を討ったことで天の怒りを買った際、白九思は彼女を守るため天罰台で十年もの雷刑を受け続けていたのだった。蕭靖山はその時、白九思の唯一の弱点が花如月であると知り、今日まで利用してきたという。衝撃の真実に花如月が動揺した隙を突き、蕭靖山は逃走してしまう。
一方、樊交交は娘を守るためという名目で樊凌児の霊力を奪うが、絶望した樊凌児は自害をほのめかす。花如月は彼女を浄雲宗へ連れ帰り、張酸に世話を任せるとともに、蕭靖山に利用されたことを悔いる張酸を励ます。その後、花如月は長老たちと協議し、蕭靖山の行方を追うことを決定する。世にさらなる災厄が訪れることを危惧する中、弟子から白九思が普元と蒼塗に付き添われて浄雲宗へやって来たとの知らせが届く。
第28話 あらすじ
浄雲宗へ現れた白九思は、幼子のような様子で「娘子」と花如月を呼びながら泣きつく。花如月は最初こそ受け入れを拒むものの、仕方なく滞在を認める。しかし白九思は四六時中彼女に付きまとい、花如月は過去の罪をうやむやにするため芝居をしているのではないかと疑い続ける。
その頃、樊凌児は大荒碑を修復すれば蕭靖山の手がかりが得られると提案する。張酸もまた蕭靖山から受け継いだ力を持っていたため、二人の協力によって大荒碑はついに修復される。花如月は碑が生み出す幻境へ入り込むが、白九思も彼女の手を離さなかったため、一緒に幻境へ引き込まれる。
そこには蕭靖山が家族と食卓を囲み、灯籠祭りを楽しむ幸せな日常が広がっていた。しかし、その世界では毎日が同じ一日を繰り返しており、不自然な時間の循環が続いていた。花如月は幻境の秘密を探る一方、子どものような白九思は蕭靖山一家を真似して花灯を贈ったり、不意に花如月へ口づけしたりと無邪気な行動を見せる。その温かな時間は、花如月の心にもわずかな安らぎをもたらしていく。
幻境から戻った二人は文宣宮で資料を調べ、蕭靖山の家族が六百年前の鸓鳥討伐で命を落としていたことを知る。当時、清虚真君が放った天火によって多くの仙兵や民が巻き添えとなり、その中に蕭靖山の家族も含まれていた。浄雲宗では、この復讐心だけでなく、蕭靖山にはさらに別の目的があるのではないかと議論が交わされる。
第29話 あらすじ
李青月は白九思や樊凌児とともに、人々の魂が奪われる怪事件の調査へ向かう。一方、紫陽、蒙楚、呂素冠は曲星蛮を陰蓮宗まで送り届け、蒼塗と離陌は蔵雷殿へ戻って妖獣の封印を守る。玄微は浄雲宗に残り、宗門の防衛を担うこととなる。
花如月は丹陽のもとを訪れるが、昏睡した人々の治療は一向に進まない。そこへ蕭靖山の分身が現れ、人々の魂は十里先の歓喜碑へ閉じ込められていると告げる。花如月たちは歓喜碑の幻境へ足を踏み入れるが、そこでは現実で苦しんでいた人々が健康で裕福な暮らしを送り、幸福に満ちた世界が広がっていた。
やがて蕭靖山が姿を現し、人々から救世主として崇められる。そして花如月たちを邪魔者として民衆を扇動し、襲いかからせる。かつて火刑や生き埋めにされた記憶が蘇った花如月は恐怖で動けなくなるが、白九思が優しく抱きしめたことで我に返り、一行は何とか幻境から脱出する。
その頃、陰蓮宗では蕭靖山がすでに宗門を掌握していた。曲珂は囚われ、紫陽たちは蛇藤や操られた弟子たちの襲撃を受ける。紫陽は命を削って弟子たちを解放するものの、その代償で深刻な反動を受ける。さらに蕭靖山は血鈴を使って紫陽と曲珂を操り、蒙楚たちへ「どちらか一人しか救えない」と残酷な選択を迫る。最後は紫陽が誰にも操られまいと自ら修為を爆散させ、その命を散らすのだった。
第30話 あらすじ
歓喜碑の幻境で、李青月は結界を張って仲間たちを守りながら脱出の方法を話し合う。樊凌児はすでに歓喜碑の陣眼を見つけていたが、その表情は暗く、詳しい事情を語ろうとしない。そして、自分一人で陣を破る役目を引き受けると決意する。
その一方で、幼い心のままの白九思は李青月を庭へ連れ出し、法術で花を咲かせて贈る。李青月はその優しさに胸を熱くするが、かつての白九思とは違う無邪気な姿を見るたびに、複雑な思いを抱かずにはいられなかった。また屋内では、樊凌児が再び張酸へ想いを伝えるものの、今回も静かに断られてしまう。
陰蓮宗では蕭靖山の分身が約束を破り、紫陽が命を絶った後も曲珂を容赦なく殺害する。さらに血鈴を餌にして呂素冠を誘惑し、「曲星蛮を殺せば蒙楚の心はお前だけのものになる」と囁く。苦悩の末、呂素冠は血鈴を受け取ってしまう。
やがて樊凌児は命を懸けて陣を破ろうとする。李青月は術で住民たちを集め、この世界が幻境であり、留まり続ければ現実の肉体は死んでしまうと訴える。しかし蕭靖山は、幻境であることを認めたうえで、「現実へ戻れば再び苦しみの日々が待っている」と人々を惑わせる。
さらに蕭靖山は、樊凌児自身が歓喜碑の陣眼となっており、幻境を壊せば彼女は魂ごと消滅すると暴露する。李青月は救う術がないことに絶望するが、樊凌児の自己犠牲に心を動かされた人々は、ついに自ら幻境を離れる決断を下す。計画を阻まれた蕭靖山は激怒し、白九思を重傷に追い込むと、李青月と白九思の二人を強大な術で閉じ込め、新たな窮地へ追いやるのだった。
第31話 あらすじ
呂素冠は、自分が蕭靖山に寝返ったように見せかけていたのは、陰蓮宗の仲間たちを救うために血鈴を手に入れる作戦だったと真相を明かす。一方、蒙楚は弟子たちとともに読経による陣を築いて蕭靖山に立ち向かう。しかし圧倒的な力の前に善戦も及ばず、弟子たちは次々と倒れていく。玄微はこれ以上の犠牲を避けるため、やむなく契月剣を蕭靖山へ渡し、目的を果たした蕭靖山はその場を去る。
その頃、蔵雷殿では龍淵たちが妖獣の大群と死闘を繰り広げ、多くの犠牲者を出していた。離陌は妖獣を丹霞境から逃がさないため、自ら元神を爆散させるという壮絶な最期を遂げる。
一方、無量碑へ向かった蕭靖山は、蒼塗と樊交交が鸓鳥と激戦を繰り広げている場面に遭遇し、あっさりと鸓鳥を倒してしまう。そして「樊凌児が危ない」と告げると、樊交交は急いで歓喜碑へ向かう。しかし陣眼となった樊凌児はすでに命の瀬戸際にあり、父がどれほど力を尽くしても救い出すことはできなかった。
樊凌児は、自分がここまで追い詰められたのは父のせいだと皮肉を口にする。深く後悔した樊交交は張酸の姿を見て、かつて瑜琊仙君から聞かされた「樊凌児の死の運命は姻縁によってのみ変えられる」という言葉を思い出す。
その一方で、瀕死の重傷を負った白九思は、自分ではもはや蕭靖山に対抗できず、世界を救えるのは李青月しかいないと悟る。そして自らの命を犠牲にする決意を固める。李青月は必死に霊力を分け与えようとするが、白九思はそれを拒み、最期の願いとして「憎しみを手放し、この世界と人々を守り抜いてほしい」と語りかける。その言葉は、李青月の胸に深く刻まれるのだった。
第32話 あらすじ
激しい戦いが終わり、それぞれが新たな道を歩み始める。蒙楚は曲星蛮とともに陰蓮宗で生きることを決意し、張酸へ別れを告げる。また、樊凌児と樊交交も長年のわだかまりを乗り越えて和解し、父の後押しを受けた樊凌児は浄雲宗へ戻り、再び李青月と行動をともにする。
李青月は、かつて鴻蒙父神がそうしたように、自らの修為を犠牲にしてでも旱魃に苦しむ人々を救おうと決意する。その前に時の神・羲娥が姿を現し、時を遡る神器「回溯晷」は過去を変える力を持つものの、未来まで思い通りに変えられるとは限らないと忠告する。それでも李青月は望みを捨てず、回溯晷を使って過去へ向かう。
竹林の小屋へ戻った李青月は、蕭靖山の家族を救い出し、悲劇の始まりを書き換えることに成功する。しかし現代へ戻ると、蕭靖山こそ消え去っていたものの、命を落とした人々が蘇ることはなく、歴史は完全には変わっていなかった。思い描いた未来とは異なる現実を前に、李青月は深い喪失感に包まれる。
そんな中、玄微は李青月を訪ね、茶に眠り草を混ぜて彼女の動きを封じる。そして、自分は以前から浄雲宗が蕭靖山との戦いに勝てない未来を見通していたことを打ち明ける。李青月から受けた恩に報いるため、自ら凡人の身で天象を動かし、旱魃を終わらせる覚悟を決めていたのだ。
李青月は必死に止めようとするが、玄微の決意は揺るがない。彼は荒野へ立つと、自らの命と霊力のすべてを天地へ捧げる。やがて待ち望まれていた恵みの雨が大地を潤し、干上がっていた世界に再び命が芽吹いていく。その光景を見届けた玄微は静かに光となって消え去り、その尊い犠牲によって多くの命が救われるのだった。
















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