長安のライチ 2025年 全35話 原題:长安的荔枝
第21話
かつて平康坊では、盧奐が裏切り者の粛清を進める中、大火が町を包み込んでいた。敵の多くを討ち取ったものの、不意を突かれた盧奐は深手を負い、絶体絶命の窮地に陥る。その時、幼い雲清が自らの危険も顧みず彼を救い出した。雲清のおかげで体勢を立て直した盧奐は反撃に転じ、残る敵をすべて討ち果たす。二人は炎に包まれた平康坊を脱出し、雲清は「いつかあなたのような力を身につけ、悪人を討ち尽くしたい」と盧奐への強い憧れを口にする。
現在、阿弥塔は幼い頃から姉妹のように育った藍玉を思い、深い後悔に苦しんでいた。「あの時、何有光が私まで殺してくれていれば…」と自責の念に駆られるが、空浪先生は、何有光が彼女を生かしてきた理由を見抜いていた。それは海虎の娘という立場を利用し、胡商たちを支配するためだったのである。
阿弥塔は、商会の帳簿は自分が隠していたのではなく、帳房で管理されていたことを明かす。一方、鄭平安は阿土が残した最後の言葉を藍哥へ伝え、騎鯨楼事件の黒幕が何有光であることを確信する。二人は真相を暴くため、密かに行動を開始する。
帳房を管理する阿牛は大の博打好きだった。阿弥塔は、その隙を利用すれば帳簿を取り戻せると考え、鄭平安と藍哥は立派な闘鶏と大金を持ち込んで斗鶏場で大勝負を演出する。狙いどおり阿牛は博打欲を抑えきれず帳房を離れ、その間に空浪先生の配下が侵入する。しかし異変を聞いた阿牛はすぐに引き返し、計画は失敗に終わる。
その知らせを受けた何有光は動じなかった。帳簿はすでに自ら焼き捨てていたためである。誰かが自分の過去を探っていることだけを悟り、趙辛民に黒幕を突き止めるよう命じる。
その頃、閆雅庄から李善徳へ伝書鳩が届く。阿土が残した近道を使えば、大庾嶺を抜けるのに三日ではなく一日で済むことが判明したのだ。長年苦しんできた輸送計画にようやく光が差し込み、阿僮や果農たちは歓声を上げながら最高の枝を探しに山へ入る。
この吉報は嶺南中へ広まり、蘇諒は胡商たちへ再び荔枝輸送への出資を呼びかける。しかし何有光と阿弥塔が対立している今、誰も何有光の機嫌を損ねたくはなく、賛同者は現れない。それでも蘇諒は、長年続いた何有光の支配に耐え続けることはもうできないと決意を固める。
蘇諒は李善徳を訪ね、「失敗したら諦めるのか」と問いかける。李善徳は「ここまで来た以上、もう引き返せない」と力強く答え、その覚悟に心を動かされた蘇諒は、最後まで資金集めに奔走することを決める。
一方、阿弥塔は逃げ続けるだけでは状況は変わらないと考え、空浪先生へ左相への仲介を依頼する。商会の帳簿は失われても、自分の頭の中にはすべての帳簿の内容が残っており、それこそが何有光を追い詰める証拠になると考えたのだ。
その夜、鄭平安は李善徳に密かに会い、荔枝輸送に紛れて阿弥塔を安全な場所へ逃がしてほしいと頼み込む。その場には狗児と阿荔もいたが、鄭平安は阿荔を完全には信用できず、言葉を濁す。すると李善徳は「ここにいる者は皆仲間だ」と言い切り、互いに信じ合うことの大切さを示す。
商会では哈迪が代理行首に就任していた。蘇諒は祝いの言葉を述べつつ、荔枝輸送への出資を持ちかけるが、哈迪はきっぱりと断る。それでも蘇諒は最後の切り札として、自らが持つ最後の商船を六割の価格で譲るだけでなく、今後の利益まで分け与える条件を提示する。その覚悟に哈迪も驚きながら、ついに取引を受け入れる。
藍哥もまた仲間たちへ、「今こそ全力で李善徳を支えよう」と呼びかける。嶺南でこのまま埋もれて生きるより、荔枝輸送を成功させ、新たな未来を切り開く方が価値ある人生だと語る。
その矢先、趙辛民は斗鶏場を訪れ、藍哥へ阿弥塔の居場所を見つけた者には百貫の褒美を出すと持ちかける。しかし藍哥は何も知らないふりを貫く。
深夜、阿荔は翌日の輸送に備えて馬へ餌を与えていた。李善徳はその姿に感謝し、自分は馬に乗れないため、長安での使命を果たしたら必ず迎えに来ると約束する。しかし阿荔は、荔枝園に残るつもりはなく、再び刺史府へ戻ると答える。李善徳は彼の決意を受け止めつつ、「必ず迎えに来る」と改めて約束するのだった。
翌日、空浪先生は一人の女性を伴って城外へ向かい、敵の目を引きつける陽動作戦を実行する。その情報をつかんだ趙辛民は、阿弥塔が港へ現れたと信じ、兵を率いて追跡を開始する。
しかし、それは巧妙に仕組まれた囮だった。本物の阿弥塔は藍哥の闘鶏を積んだ荷車へ身を潜め、城門を通過しようとしていた。検問の兵が荷車を改めようとしたその時、鄭平安が現れ、「これは何刺史が何より大切にしている闘鶏だ。驚かせて責任が取れるのか」と厳しく叱責する。責任者まで呼びつけて圧力をかけたことで、兵たちは荷車を調べることなく通過させる。
一方その頃、藍玉は阿弥塔に変装して港を馬で駆け抜け、自ら囮となって何有光の追っ手を引きつける。命を懸けた彼女の犠牲によって、本物の阿弥塔はついに包囲網を突破し、新たな希望へ向けて逃れることに成功するのだった。
第22話
李善徳(り・ぜんとく)のもとに集まった仲間たちは、いよいよ長安への本格的な荔枝輸送を目前に控え、それぞれが最後の決断を下します。その頃、空浪先生の過去も明かされます。幼い頃、命を救われた雲清は、盧奐から与えられた匕首を手に修行を重ね、やがて「空浪先生」と名乗るまでに成長していました。恩人の志を受け継ぎ、不正を暴こうとする現在の彼の信念には、この過去が深く関わっていたのです。
一方、蘇諒は李善徳に何も知らせないまま、自らの財産をすべて処分し、荔枝輸送の資金を用意していました。その事実を知った李善徳は大きな衝撃を受けます。蘇諒は「成功するかどうかではない。君ならやり遂げると信じている」と語り、全財産を賭けてまで李善徳を支える決意を示します。その覚悟に胸を打たれた李善徳は、多くの人々の期待を背負い、絶対に成功させることを改めて誓います。
出発の日、果樹園には仲間たちが集まり、それぞれが李善徳を見送ります。これまで苦楽を共にしてきた阿僮や村人たちはもちろん、阿荔も涙ながらに李善徳へ別れを告げ、深く頭を下げます。数々の困難を乗り越えて築かれた仲間たちとの絆は、この旅立ちの場面でより一層強く描かれます。
その裏では、鄭平安と藍哥が綿密に練った作戦が進行していました。何有光の追跡をかわすため、阿弥塔(アミタ)を密かに城外へ脱出させる計画です。阿弥塔は隠された山道を馬で進み、空浪先生との合流を目指します。一方で、何有光は蘇諒が全財産を処分したことを知り激怒します。哈迪が何も気づかなかったことを厳しく責め立てるとともに、趙辛民へ李善徳の追跡を命じ、さらに蘇諒の船を買い取った人物まで徹底的に調べるよう指示します。
その頃、刺史府では阿荔が趙辛民に呼び止められます。李善徳の出発を知りながら報告しなかったことを問い詰められ、容赦ない鞭打ちを受ける阿荔。それでも彼は李善徳を守るため、傷ついた体で命がけの脱出を図り、追っ手より先に危険を知らせようと必死に走ります。しかし楊校尉に追いつかれた阿荔は力尽き、李善徳への感謝と再会への願いを胸に抱いたまま、その短い生涯を終えるのでした。
一方の何有光は、港で捕らえたと思っていた阿弥塔が実は偽物だったと知り愕然とします。藍玉が自ら囮となって命を懸け、阿弥塔を逃がしていたのです。阿荔の死に加え、李善徳も取り逃がしたことを知った何有光は怒りを爆発させ、趙辛民を激しく叱責します。しかしその頃には、李善徳一行はすでに山道を進み、阿弥塔とも無事に合流を果たしていました。
長安への道は想像以上に過酷でした。連日の騎乗で李善徳の体力は限界に達し、仲間たちへ先に進むよう指示すると、自分は遅れながらも必死に後を追います。夜になってようやく第一中継地点へ到着した彼を、阿弥塔たちは温かく迎え入れます。休息を取る間にも、荔枝はすぐに新しい水へと移され、次の走者へ受け渡されていきます。人も馬も休む暇なく動き続ける姿からは、この輸送計画に懸ける全員の覚悟が伝わってきます。
翌朝、阿弥塔は疲労困憊の李善徳へ茶を差し出し、「このままでは荔枝より先にあなたが駄目になってしまう」と冗談交じりに気遣います。互いに励まし合いながら再び旅を続けますが、その途中で長距離を走り続けてきた闫雅庄がついに倒れ、愛馬も力尽きてしまいます。命懸けで走り続けた相棒を前に、皆が言葉を失います。
駆け付けた李善徳は、闫雅庄の無事を確認して安堵する一方、散乱した荔枝を見て落胆します。しかし闫雅庄は大切そうに一粒の荔枝を取り出します。それは輸送開始から十一日が経過しているにもかかわらず、色も味もほとんど損なわれていませんでした。長年不可能とされてきた荔枝輸送が、ついに実現可能であることが証明された瞬間でした。これまで積み重ねてきた努力が報われ、仲間たちは成功への大きな手応えを感じます。
その直後、極度の疲労で李善徳は再び倒れてしまいます。目を覚ますと、彼を救っていたのは長源という道士でした。長源はかつて長安の権力争いに身を置きながらも、その世界に失望して山へ入った人物です。彼は李善徳に俗世を離れて生きる道もあると静かに語ります。しかし李善徳は、長安で待つ娘や仲間たち、そして自分を信じて送り出してくれた人々の思いを捨てることはできないと答えます。そんな彼の覚悟を認めた長源は、「人が必死に求めるものが必ずしも正しいとは限らず、避けた道こそ生きる道となることもある」という意味深な言葉を残し、李善徳を送り出します。
こうして幾多の困難を乗り越えた李善徳と阿弥塔は、ついに長安へ到着します。壮大な都の景色を初めて目にした阿弥塔は、その圧倒的な繁栄に目を奪われ、「誰もがこの都に憧れる理由が分かった」と感嘆します。長安で待ち受ける新たな試練と、荔枝輸送計画の最終局面へ向け、物語は大きく動き始めます。
第23話
物語は二年前の出来事から始まります。空浪先生こと雲清のもとを、恩人である盧奐が密かに訪れます。何者かに追われる立場となった雲清を案じた盧奐は、長安に用意した屋敷へ移り、安全な場所で身を隠すよう勧めます。しかし雲清は、今ここを離れれば長年追い続けてきた真実に近づけなくなると考え、その申し出を断ります。盧奐は「次は必ず迎えに来る」と約束を残して長安へ戻り、二人は再会を誓って別れるのでした。
場面は現在へ移り、長安へたどり着いた李善徳は、久しぶりに娘・袖児と再会する日を迎えます。娘に少しでも立派な姿を見せたいと髪を整え、身なりを整えてから家へ向かいます。一方の袖児も昨夜、父の夢を見たばかりで、まさか本当に帰ってくるとは思っていませんでした。門の前に立つ父の姿を見つけた瞬間、袖児は満面の笑みで駆け寄り、父娘は感動の再会を果たします。長い間離れて暮らしてきた二人にとって、このひとときは何よりも幸せな時間となります。
李善徳は袖児を連れて、かつて家族で何度も訪れた胡餅屋へ向かいます。懐かしい味に思わず食べ過ぎてしまう李善徳を見て、袖児は楽しそうに笑います。その様子を見守る阿弥塔もまた、亡き父・海虎との思い出を重ね、胸を熱くします。袖児は初めて会う阿弥塔に強い興味を示し、李善徳と同じように親しげに接します。阿弥塔も自然と笑顔を見せ、長安での新しい日常が少しずつ始まっていきます。
しかし李善徳には、感傷に浸っている時間はありません。すぐに戸部へ向かい、荔枝輸送に必要な予算の正式な申請を行います。ところが戸部には侍郎への面会を待つ官僚たちが長蛇の列を作っており、誰もがその状況を当然のように受け入れていました。ようやく提出できた申請書も、侍郎からは字が汚いことや書式が整っていないことまで細かく指摘され、本題にはなかなか入ろうとしません。
さらに侍郎は、荔枝輸送に必要な費用があまりにも高額であることを問題視します。李善徳が嶺南で誰かと結託し、不正に利益を得ようとしているのではないかと疑い、胡商が負担する資金だけでなく、免税措置そのものも朝廷の負担だと難癖をつけます。どれだけ李善徳が輸送計画の必要性を説明しても耳を貸さず、結局申請は却下されてしまいます。ようやく成功への道筋が見えたと思った矢先、最大の障害は長安の官僚機構そのものだったのです。
一方その頃、阿弥塔は長安でも盧奐の部下たちによる厳重な護衛を受けていました。そこへ雲清から密書が届きます。何有光はすでに決定的な帳簿を焼き捨てており、残された投誠の書状だけでは右相を失脚させることは難しいという内容でした。しかし右相は現在、貴妃の誕辰を控えて多忙を極めており、その隙こそ新たな証拠を集める絶好の機会でもあります。雲清は焦って動かず、慎重に時機を待つよう阿弥塔へ伝えます。
その頃、李善徳の屋敷では思わぬ騒動が起きていました。かつて李善徳へ金を貸した十七娘が、返済を求めて使者を送り込んできたのです。阿弥塔は相手の様子からすぐに貸金業者だと見抜き、袖児も「この人たちは悪い人」と不安そうな表情を浮かべます。使者たちは阿弥塔まで連れて行こうとしますが、袖児に危険が及ぶことを察した阿弥塔は、密かに短剣へ手を伸ばしながらも争いは避け、自ら同行すると申し出ます。
一方、戸部で門前払いを受けた李善徳は、望みをつないで政事堂へ向かいます。しかし令使から返ってきた答えは冷たいものでした。たとえ皇帝直々に任命された荔枝使であっても、戸部の承認がなければ政事堂では何もできないというのです。制度上、戸部が認めない限り先へ進めず、李善徳は完全に行き詰まってしまいます。それでも令使は同情し、わずかな可能性として太府への相談を勧めます。
一方で十七娘は阿弥塔を前に、「李善徳が嶺南で大金を手に入れたのなら、借金くらい返済できるはずだ」と迫ります。しかし阿弥塔は商人らしく冷静に借用証文の提示を求めたうえで、李善徳が得た資金はすべて荔枝輸送のために使われており、私腹を肥やしたわけではないと説明します。そして輸送計画が正式に認可され、六月初一に成功を収めれば、この借金はもちろん、それ以上の利益を生み出せると説得します。感情ではなく理屈で相手と向き合う阿弥塔の姿勢に、十七娘もすぐには反論できません。
こうして李善徳は、輸送技術という最大の難関を乗り越えたにもかかわらず、今度は朝廷の複雑な手続きと官僚たちの保身という新たな壁に直面します。一方の阿弥塔も、何有光と右相を追い詰める証拠探しと、李善徳を支えるための交渉を同時に進めることになり、それぞれの戦いは長安の地で新たな局面を迎えるのでした。
第24話
阿弥塔は十七娘から李善徳の借金返済を迫られるが、六月初一に荔枝輸送が成功すれば必ず返済できると説得する。さらに「今ここで百数十貫を待てば、将来李善徳という大きな人脈を得られる」と商人らしい視点で利益を語り、十七娘の心を動かす。袖児の将来を考えても李善徳は必ず借金を返すはずだと断言し、十七娘も返済を待つことを決意する。
その後、事情を聞いた李善徳は慌てて駆け付けるが、十七娘は以前とは打って変わって穏やかな態度を見せる。借金はしばらく待つ代わりに、必ず約束を守るよう念を押すだけだった。しかし、李善徳は阿弥塔が無断で袖児を十七娘のもとへ連れて行ったことに激怒する。もし袖児に危険が及んでいたら取り返しがつかなかったと責め立て、阿弥塔は深く傷つき、一人静かに部屋へ戻ってしまう。
一方その頃、嶺南では何有光が趙辛民を厳しく叱責していた。李善徳の荔枝輸送も阿弥塔の逃亡も阻止できなかったことに怒りを募らせ、昨夜は夢の中で李善徳に笑われる始末だったと屈辱を口にする。すべての失敗は趙辛民の責任だと断じ、次こそ成果を挙げなければ命はないと冷酷に言い放つ。
長安では、自分の言い過ぎを反省した李善徳が阿弥塔のもとを訪れ、食事を差し入れながら素直に謝罪する。阿弥塔は幼い頃に父・海虎と過ごした記憶は多くないが、李善徳と袖児の親子の姿を見ていると、かつて父に乗馬を教わった日々が鮮明によみがえる。あの日、意地を張って船に乗らなかったため父との最後の別れとなってしまったことを悔やみ、自分は家族も地位も失い、長安へ逃れてきた今、果たして本当に父の仇を討てるのかと苦悩する。
李善徳は翌朝も資金集めのため奔走する。まず太府を訪れると、担当官は最初こそ協力的な態度を見せる。しかし、荔枝を遠く嶺南から運ぶと知り、その莫大な費用に驚くや否や態度を一変させ、自分には責任を負えないとして左蔵署へ回す。
その頃、阿弥塔は町で何者かにつけられていることに気づき、尾行していた男を取り押さえる。男は盧奐が密かに護衛として送り込んでいた者だった。阿弥塔はその男を通じて盧奐へ密書を渡し、右相を倒すための準備について話し合う。盧奐は、嶺南でさらに証拠が集まるまでは動く時ではないと冷静に判断し、それまでは身を潜め、決定的な局面で証人として立ってほしいと阿弥塔へ告げる。
一方、左蔵署でも李善徳は門前払い同然の扱いを受ける。そんな中、旧知の許楽平監事と偶然再会し、一筋の希望を抱く。許楽平は申請書だけは受け取り、「兵部へ届けるよう手配する」と約束するが、李善徳が立ち去った後、同僚に対して「実際には何もしない。申請したと言って時間を稼げば、そのうち諦めるだろう」と本音を漏らす。
偶然その会話を耳にした李善徳は怒りを抑えきれず姿を現し、自分は時間との戦いをしているのに、人の人生を軽く扱うのかと問い詰める。しかし許楽平は開き直り、「兵部の門すら通れない」と言い放ち、申請書を突き返してしまう。
それでも李善徳は諦めず兵部へ向かうが、案の定門前で追い返される。長安へ戻ってから各役所をたらい回しにされ続け、何一つ前へ進まない現実に打ちのめされ、疲れ切った足取りで家路につく。
その夜、袖児を迎えに行くと、近所の子どもと喧嘩になっていた。相手が「お前の父親は“厄介者の荔枝使”だ」と馬鹿にしたため、袖児は父を侮辱されたと思い腹を立てたのだ。李善徳は娘を優しく諭し、「荔枝使はとても立派で大切な役目なんだ」と笑顔で語る。その言葉を信じた袖児は安心し、再び明るい笑顔を取り戻す。
その一方で、趙辛民は自らの保身を図るため、新たな後ろ盾を求めて空浪先生への取り次ぎを依頼する。書店で管家に銀を渡して帰ろうとしたところ、偶然やって来た鄭平安と鉢合わせする。鄭平安は空浪先生への贈り物として美しい丸扇を持参していたが、趙辛民の姿を見て咄嗟に「右相への祈願のため本を買いに来ただけだ」と取り繕う。しかし趙辛民はその不自然な言動に疑念を抱き、密かに店へ引き返す。こうして鄭平安と空浪先生とのつながりに、趙辛民が気付き始めたことで、新たな火種が静かに動き始めるのだった。
長安のライチ 25話・26話・27話・28話 あらすじ
















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